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PDFの規格

PDFは用途によりいくつかの規格が存在します。あまり馴染みはないかもしれませんが、印刷業界向け以外にも長期保存用、可変印刷向け、技術文書向けなどがあります。ここではそれぞれの違いについて解説します。

印刷業界向けの規格「PDF/X」

PDF/Xは印刷用に最適化された規格でISO 15930により規定されています。さらに細かくPDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X-4などがありますが、日本の印刷会社の多くはPDF/X-1a、またはPDF/X-4を採用。両方ともフォントを埋め込むタイプですがPDF/X-1aはCMYKカラー+特色が使用できPDF/X-4はRGBカラーや透明効果もサポートします

長期保存用の規格「PDF/A」

PDF/Aの“A”はArchiveの略で長期保存するのに適した規格でISO19005で規定されています。フォントを埋め込むタイプである点はPDF/Xと同じですが、暗号化や外部コンテンツへの参照、LZW圧縮が禁止されています。PDF/A-1、PDF/A-2、PDF/A-3、PDF/A-4があり公文書で利用されることが多くなっています。

さまざまな規格がある中で、今、PDF/Aの規格への注目度が増しています

これからのビジネスシーンに
PDF/A規格が必須である理由とは

可変印刷向けの規格「PDF/VT」

可変印刷用に最適化された規格でISO 16612で規定。VTとは“Variable"と"Transactional"の頭文字です。可変印刷とは同じレイアウトでもデータに基づき、1枚ごとバーコードが異なる印刷物作成するもの。大量のパーソナライズ印刷を可能にするためレイヤー、ベースカラーマネジメントといった機能に対応しています。

技術文書向けの規格「PDF/E」

知的権利の安全な配布やCADなどで使用する3次元データを組み込むなど、技術文書の交換(エンジニアリングワークフロー)に適した規格です。ISO 24517-1で規定されており種類はPDF/E-1のみ。具体例としてメーカーが作成した設計図面の第三者機関による審査、監督官庁の承認などに用いられ注釈の使用が許可されています。

ユニバーサルアクセスに配慮した規格「PDF/UA」

障がいを持つ方や高齢者などでも使えるアクセシビリティの向上を目的とした規格で、ISO 14289で規定されています。フォント埋め込みタイプでテキストはUnicode(文字コード)でマッピング。画像は代替テキストを含みます。そうすることで音声読み上げソフトにより正確な内容が伝えることができます