PDF/A規格が必須である理由は、長期保存に耐えうる安定性の高いファイル形式であるためです。
ビジネスシーンにおいては、契約書や請求書、報告書などの文書が頻繁にやり取りされます。これらの文書を長期保存する必要がある場合、保存形式によってはファイルの破損や内容の変化が起こり、再利用ができなくなる場合があります。
一方、PDF/A規格は、フォントや画像などの埋め込みを必須とし、ファイル内部の情報を保護することができます。また、長期保存に適した形式であるため、数年後でも正しく表示されることが保証されています。これにより、ビジネスシーンでの情報のやり取りや保存が安定し、ビジネス上のトラブルを防止することができます。
更に、改正電子帳簿保存法が施行されたことにより、企業において電子帳簿保存が義務付けられました。PDF/A規格は、この法律にも適合しており、企業が法的に求められる長期保存にも適しています。
以上の理由から、PDF/A規格はビジネスシーンにおいて必須であり、今後ますます普及していくことが予想されます。
PDF/A-1とは、「Adobe PDF 1.4」をベースとした文書ファイルのPDF形式の規格のひとつで、長期保存のために仕様を特化させた国際規格です。
国際標準化機構によって「ISO19005」シリーズに標準化されており、2005年に「ISO 19005-1」、2011年7月には「ISO 19005-2」、2012年10月には「ISO 19005-3」が策定されました。
PDF/A-1は、2005年にリリースされたパート1(ISO 19005-1)の規格です。
なお、ファイル形式は他のPDFと同じ「.pdf」となっています。
PDF/A-1を利用すると、PDFリーダーごとの仕様が異なっても表示が歪まなくなります。
また、将来的にシステム環境が大きく変化した際にも作成したときと同じように表示し続けられるようになるため、データ化した文書を長期的に保存できるようになります。
そのため、PDF/A-1の規格は独立性が高く、標準規格の中で必須とする項目や禁止項目が細かく定められています。
ペーパーレス化のためにこれからPDF導入を検討しているのであれば、閲覧環境に依存せず、将来的にも正しく表示できる「PDF/A-1」に対応しているかどうかを確認する必要があります。
PDF/A-1の準拠レベルには「PDF/A-1a」「PDF/A-1b」の2つがあります。PDF/A-1b はISO19005-1の一部準拠、PDF/A-1a はISO19005-1の完全準拠が必要です。
大まかな違いはタグで、PDF/A-1aはPDF/A-1bの準拠に加えて、PDF内にドキュメントの論理構造を示すタグがついていなくてはなりません。
後述する「PDF/A-1b」のカラーの再現性、フォント埋め込み、XMPメタデータの埋め込みに加え、タグ付きPDFで理論構造を埋め込む、一部フォントを除き「ToUnicode CMap」でUnicodeに対応しているかが求められます。
PDFを表示するとき、デバイスや表示ソフトの環境に依存せず見栄えが常に同じである保証と、メタデータの埋め込みが求められます。
そのために「PDF/A OutputIntent」指定でカラー特性する、基本14フォントを含むすべてのフォントを埋め込む、使用されているグリフを埋め込む、埋め込むフォントは使用用途で埋め込み許可がある、リーダーを文字コードではなく埋め込みフォントで表示する仕様を満たしている必要があります。
PDF/A-1a、PDF/A-1b共通で暗号化が禁止されています。そのため、パスワードによるアクセス許可はできません。
また、圧縮解凍後の画質が元の画像と同じになるLZW圧縮、文書の代替え可視化が禁止されています。埋め込みファイルや透明色、PostScriptコード、外部コンテンツへの参照など外部依存性のあるものも禁止です。
ただし、ISOのパート1であるPDF/A-1の規格では別のファイル形式の埋め込み表示や透明色、レイヤー機能などが禁止されていましたが、改訂により他のパートでは許可されています。
PDF/A-1では、注釈やアクションに制限が設けられています。隠し注釈や印刷不可の注釈、添付ファイル注釈、マルチメディア注釈の一部の機能は禁止です。
また、Launch、 Sound,、Movie,、ResetForm,、ImportData,、JavaScriptのアクション、NextPage,、PrevPage,、FirstPage,、LastPage以外の名前付きアクション、対話フォームからのアクションは実行禁止となっています。
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