PDF/A-3

これからのビジネスシーンにPDF/A規格が必須である理由

PDF/A規格が必須である理由は、長期保存に耐えうる安定性の高いファイル形式であるためです。

ビジネスシーンにおいては、契約書や請求書、報告書などの文書が頻繁にやり取りされます。これらの文書を長期保存する必要がある場合、保存形式によってはファイルの破損や内容の変化が起こり、再利用ができなくなる場合があります。

一方、PDF/A規格は、フォントや画像などの埋め込みを必須とし、ファイル内部の情報を保護することができます。また、長期保存に適した形式であるため、数年後でも正しく表示されることが保証されています。これにより、ビジネスシーンでの情報のやり取りや保存が安定し、ビジネス上のトラブルを防止することができます。

更に、改正電子帳簿保存法が施行されたことにより、企業において電子帳簿保存が義務付けられました。PDF/A規格は、この法律にも適合しており、企業が法的に求められる長期保存にも適しています。

以上の理由から、PDF/A規格はビジネスシーンにおいて必須であり、今後ますます普及していくことが予想されます。

PDF/A-3とは

PDF/A-3は、2011年7月にリリースされたPDF/A-2をもとに機能が拡張された規格です。

公文書ファイルなどで利用されるPDF/Aシリーズ同様、長期保存を目的としており、国際規格ISOでは「ISO19005-3」として2012年10月に標準化されています。

PDF/A-3は準拠レベルごとに異なる特徴を持っており、PDF/A-1、PDF/A-2シリーズと同様、準拠レベルのグレードに合わせて「Accessibility =a」「Basic=b」「Unicode =u」と頭文字が取られて名付けられています。

PDF/A-3a

PDF/A-3aは、アクセシビリティに関するグレードです。ISO 19005-3に完全準拠していることが要件となります。

PDF/A-3b

文書を表示したときの一貫性など、視覚的整合性に関するグレードで、ISO 19005-3の一部準拠で定義されます。

PDF/A-3u

テキストの検索性とUnicodeテキストのコピーがしやすくなるグレードです。PDF/A-3b と同様、ISO 19005-3の一部準拠で定義されています。

PDF/A-2との違い

PDF/A-2では「別のPDF/Aファイル」の埋込のみが可能でしたが、PDF/A-3ではCAD図面やExcel、Microsoft Word（文書ファイル）、HTML、XML形式のファイルなど、あらゆるファイルが埋め込めるようになりました。

ただし、埋め込まれたファイルを開くには上記のような特定のアプリケーションソフトが必要な可能性が残るため、将来的な利用が保証されるものではありません。

そのため、長期保存を目的とした本来のPDF/A 規格にはそぐわないのではないか、といった意見も交わされています。

しかし、製薬業界や銀行・金融業界などはオリジナルのファイルを変換したPDF/Aと一緒に維持する必要があり、多くの要望によって実装されました。

PDF/A-2とPDF/A-3の違いは、さまざまな形式のファイルが使える以外にほとんどありません。ただ、前述したように将来的にこれらのファイルが有効である保証がないため、PDF/A-2規格で準拠していた文書しかない埋め込まない、PDF/A-3で新たに準拠したファイルを埋め込むつもりがないのであれば、PDF/A-2を選択するほうが良いと言われています。

そもそもPDF/AによるPDFファイルは、長期保存を目的としています。

今は多くの場面で使われているアプリケーションであっても、将来的に利用される保証がない今の段階では、PDF/A-3で保存すべきかを慎重に見極めなくてはなりません。

自分が保存したいファイル形式が、どのシリーズで埋込に準拠しているかを確かめた上で選択するようにしましょう。