PDF/A規格が必須である理由は、長期保存に耐えうる安定性の高いファイル形式であるためです。
ビジネスシーンにおいては、契約書や請求書、報告書などの文書が頻繁にやり取りされます。これらの文書を長期保存する必要がある場合、保存形式によってはファイルの破損や内容の変化が起こり、再利用ができなくなる場合があります。
一方、PDF/A規格は、フォントや画像などの埋め込みを必須とし、ファイル内部の情報を保護することができます。また、長期保存に適した形式であるため、数年後でも正しく表示されることが保証されています。これにより、ビジネスシーンでの情報のやり取りや保存が安定し、ビジネス上のトラブルを防止することができます。
更に、改正電子帳簿保存法が施行されたことにより、企業において電子帳簿保存が義務付けられました。PDF/A規格は、この法律にも適合しており、企業が法的に求められる長期保存にも適しています。
以上の理由から、PDF/A規格はビジネスシーンにおいて必須であり、今後ますます普及していくことが予想されます。
2020年に登場したPDF 2.0の規格「PDF/A-4」は、PDF 1.7に基づく「PDF/A-3」のバージョンアップ版です。改正電帳法でより重要になるこれらの規格の違いや移行の必要性を解説します。
さまざまなサブセットが存在するPDF規格のなかでも、PDF/Aは長期保存用に定められたサブセット規格です。PDFファイルを開くデバイスやOSといった環境に依存せず、将来にわたって長く利用できるよう配慮された形で仕様が定められています。
最初のPDF/A規格は2005年にPDF 1.4に基づいて定められ、その後2011年にPDF 1.7に基づいたPDF/A-2が、2012年に同じくPDF 1.7に基づいたPDF/A-3が定められました。
PDF/A-4はPDF 2.0に基づいて定められた点が特徴です。PDF 1.7が2008年に定められた古い規格なのに対し、PDF 2.0は2017年に定められ、2020年に更新された新しい規格となっています。PDF 2.0ではたとえばUnicodeに関する修正がおこなわれており、より多言語に対応しやすくなっています。
一方、PDF 1.7とPDF 2.0の互換性はあまり高くありません。メジャーバージョンが上がっているだけあり、PDF 1.7でサポートされていた139もの仕様が「非推奨(Deprecated)」とされています。
また、PDF 2.0の新機能も多数あることから、PDF 1.7に基づいたPDF/A-3からPDF 2.0に基づいたPDF/A-4への移行は簡単ではないといえるでしょう。
PDF/A-4では、JavaScriptによるPDF文書内のコンテンツ埋め込みが許可され、フォームによる記述の追加がより幅広くサポートされました。また、電子署名による取り扱いも簡素化されています。
先述のようにPDF/A規格は文書の長期保存を想定した規格です。そしてPDF/A-4で追加されたいずれの機能もこれまで紙で扱われていた文書の電子化に欠かせないものであり、PDF/A-4は業務のデジタル化をより強力に推進する規格といえます。
今後は古いPDF 1.7ベースのPDF/A-3から新しいPDF/A-4への移行が徐々に進んでいくものと考えられます。
一方で先述のようにPDF/A-3とPDF/A-4の間の互換性は高いとはいえません。
改正電帳法により長期保存が可能なPDF/A規格は今後より重要になります。重要な文書ファイルを受け取ったのに読み込めない、あるいは送付先で文書ファイルが開けないという事態を避けるためにも、PDF/A-4に対応したソフトの導入を早期に検討したほうが良いでしょう。
ここではペーパーレス化を目指す企業・自治体に向けて、有料版PDFソフトを調査。
PDFの作成・編集/加工・セキュリティといった基本的機能に加えて、安心・安全にビジネスで使っていける機能(※)を持つ“高機能”な製品の中から、企業ニーズに合わせたオススメの3製品を紹介しています。
※タイムスタンプ、電子印鑑/電子サイン機能の搭載&PDF/A、PDF2.0(ISO-32000-2)への対応
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Officeソフト「JUST Office」やワープロソフト「一太郎」と同じメーカーによって開発されたPDFソフト。
そういった連携ソフトから直接PDFを作成・編集できるなど、日常的に同ソフトを使用している企業にとっては、高い業務効率化が図れます。
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